インフラエンジニアとしてスキルアップしたいけれど、
- Linuxの勉強がなかなか続かない
- サーバ構築を実際に経験してみたい
- ネットワークの検証環境が欲しい
- 資格の勉強だけでは物足りない
このように感じている方には、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)を1台購入して、自宅サーバとして運用することをおすすめします。

私自身、ネットワークやサーバ周りの検証環境としてRaspberry Piを導入しました。
実際に触ってみると、単に本を読んだり資格の勉強をしたりするよりも、「手を動かして覚える」ことのメリットをかなり感じます。
この記事では、インフラエンジニアがRaspberry Piを購入するメリットや、実際に購入した機器、できること、購入時の注意点について紹介します。
結論:自己研鑽したいインフラエンジニアはRaspberry Piを買おう
結論から言うと、自己研鑽したいインフラエンジニアには、座学だけでなくRaspberry Piを使った実機学習がおすすめです。
理由はシンプルで、実際に手を動かすことで知識が「体験」として身につくからです。
インフラエンジニアの仕事では、
- Linuxコマンドを使う
- サーバを構築する
- ネットワークを設定する
- ログを確認する
- サービスを監視する
- 障害が起きたら原因を調査する
といった作業を行います。
Raspberry Piが1台あれば、これらを自宅で実際に体験できます。
なぜRaspberry Piがおすすめなのか?
手を動かすことで知識が定着しやすい
Linuxのコマンドを本で勉強しているだけでは、なかなか覚えられません。
しかし、自分でサーバを構築して、
「この設定ファイルはどこにあるんだ?」
「サービスが起動しない……」
「ログを見るにはどうすればいい?」
と試行錯誤していると、自然とコマンドや設定方法を覚えていきます。
例えば、
systemctl
journalctl
ip
ss
ping
traceroute
curl
など、インフラエンジニアなら触れる機会の多いコマンドを実際に使うことができます。
「覚えなければいけない」ではなく、「必要だから調べて使う」
という環境を作れるのが、Raspberry Piの良いところです。
自宅でサーバ構築・運用を経験できる
インフラエンジニアの仕事は、サーバを構築して終わりではありません。
実際には、
構築 → 設定 → 稼働 → 監視 → ログ確認 → 障害対応 → 改善
といった運用まで含めて考える必要があります。
Raspberry Piなら、この一連の流れを自宅で体験できます。
例えばWebサーバを構築して、実際にアクセスしてみる。
ログを確認してみる。
サーバを再起動してみる。
サービスが起動しなかったら原因を調査する。
こうした経験は、座学だけでは得にくいものです。
私が購入したRaspberry Pi環境
私が購入したのは以下の構成です。
Raspberry Pi 4 Model B 4GB
今回選んだのはRaspberry Pi 4 Model Bの4GBモデルです。
ネットワーク検証や監視用途をメインに考えていたため、最新・高性能なモデルにこだわるよりも、コストパフォーマンスを重視して選びました。

また、今回の用途では4GB程度あれば十分だと判断しました。
Raspberry Piは用途によって必要なスペックが変わるため、
- 軽量なLinuxサーバ
- ネットワーク検証
- 監視サーバ
- DNSサーバ
- syslogサーバ
- Webサーバ
など、何に使うのかを先に考えてからモデルを選ぶのがおすすめです。
Raspberry Pi PoE HAT+
次に購入したのがRaspberry Pi PoE HAT+です。

これはRaspberry PiをPoE(Power over Ethernet)で給電するための拡張ボードです。
ネットワーク機器を触っているとPoEは身近な技術なので、
「せっかくならRaspberry PiもLANケーブル1本で給電したい」
と思い、購入しました。
ただし、ここには後述するちょっとした失敗があります。
購入前に、自宅のスイッチやルータがPoEに対応しているかを必ず確認しましょう。
Samsung EVO Plus 128GB microSDXC
OSをインストールするために、microSDカードも購入しました。

選んだのは128GBです。
Raspberry PiではmicroSDカードにOSをインストールして利用することができます。
今回の用途では、
- OS
- 各種パッケージ
- ネットワーク検証
- ログ保存
- サーバ構築
などで容量を使うことを考え、余裕を持って128GBを選択しました。
もちろん用途によってはもっと小容量でも十分です。
「とりあえずLinuxを触ってみたい」という程度であれば、必要以上に大容量のものを買う必要はありません。
Raspberry Piを購入するメリット
ここからは、実際にRaspberry Piを触って感じたメリットを紹介します。
Linuxコマンドを嫌でも覚えられる
個人的にはこれがかなり大きなメリットです。
自分でサーバを運用していると、問題が発生したときに自分で調べる必要があります。
「SSHで接続できない」
「サービスが起動しない」
「ポートが開いていない」
「ログがどこにあるのかわからない」
など、いろいろな問題が発生します。
そのたびにLinuxコマンドを調べて、実際に実行する。
これを繰り返していると、少しずつコマンドが身についてきます。
座学で覚えるLinuxではなく、必要に迫られて覚えるLinux。
この違いはかなり大きいと思います。
24時間稼働の自宅サーバにできる
Raspberry Piは消費電力が比較的小さいため、常時稼働させるサーバとしても使いやすいです。
例えば、
- Webサーバ
- DNSサーバ
- syslogサーバ
- 監視サーバ
- ファイルサーバ
- VPNサーバ
など、さまざまな用途に利用できます。
「自宅に自分専用のサーバがある」というだけでも、いろいろ試してみたくなります。
「次は何をしよう?」と考えるのが楽しい
Raspberry Piの面白いところは、購入して終わりではないことです。
最初はLinuxをインストールするだけだったとしても、
「Webサーバを立ててみよう」
「監視環境を作ってみよう」
「syslogサーバにしてみよう」
「ネットワーク構成を変えてみよう」
など、次々にやりたいことが出てきます。
自己研鑽というと少し堅苦しく感じますが、Raspberry Piなら遊びながらインフラの勉強ができるのが魅力です。
Raspberry Piで何ができる?
Raspberry Piは小型コンピュータなので、アイデア次第でさまざまなサーバとして利用できます。
Webサーバ
Nginxを使って自宅用のポータルサイトを構築しました。

単純にWebページを表示するだけではなく、自宅のRaspberry Pi上で動かしているサービスへアクセスするための入口として利用しています。
例えば、自宅ポータルから、
- AdGuard Home
- 各種サーバやサービス
- 監視環境
- その他、自宅で構築したWebサービス
などへアクセスできるようにしています。
syslogサーバ
Raspberry Piをsyslogサーバとして運用することもできます。
私の場合は、CiscoルータのログをRaspberry Piに送信するように設定して、受信したログの内容をメールで通知するようにしています。

監視サーバ
サーバやネットワーク機器の状態を監視する環境を構築することもできます。
監視の仕組みを実際に構築すると、業務で監視ツールを扱うときにも理解しやすくなります。
DNSサーバ
Raspberry PiをDNSサーバとして利用することもできます。
私の場合は、AdGuard HomeをDockerコンテナで構築して、家庭内ネットワークのDNSサーバとして運用しています。

Tailscaleで外出先からRaspberry Piにアクセス
さらに、Raspberry PiにはTailscaleも導入して、外出先からアクセスできるようにしています。
Raspberry Piでやってみて失敗したこと
ここでは、実際に購入してから気づいた失敗についても紹介します。
PoE HATを買ったけど必要なかった
先ほど紹介したPoE HATですが、実は私の場合、購入する必要がありませんでした。
理由は単純で、
「ルータがPoEに対応している」と勘違いしていたからです。
PoE HATを購入すればLANケーブル経由で給電できると思っていたのですが、当然ながら給電側のネットワーク機器もPoEに対応している必要があります。
そのため、Raspberry Pi用のPoE環境を作る場合は、
Raspberry Pi側だけではなく、接続するスイッチなどがPoE給電に対応しているか
を事前に確認しましょう。
私のように「なんとなくPoEだからいけるだろう」で購入すると、余計な出費になる可能性があります。
サーバの知識はネットワークエンジニアにも必要
Raspberry Piをおすすめしたいのは、サーバエンジニアだけではありません。
ネットワークエンジニアにもおすすめです。
ネットワーク機器を扱っていると、
「この先にあるサーバでは何が動いているのか?」
「このポートでは何のサービスが待ち受けているのか?」
「なぜこの通信が必要なのか?」
といった、サーバ側の知識が必要になる場面があります。
ネットワークだけを理解するのではなく、サーバ側の仕組みも理解しておくと、通信の流れをより深く理解できるようになります。
極端な話ですが、ネットワークはサーバやクライアントなどの通信相手がいて初めて成り立つものです。
そのため、ネットワークエンジニアであってもLinuxやサーバの基本を知っておいて損はありません。
まとめ:インフラエンジニアならRaspberry Piを1台持っておこう
インフラエンジニアが自己研鑽をするなら、資格や技術書での勉強だけでなく、実際に手を動かす環境を作ることをおすすめします。
その環境として、Raspberry Piはかなり優秀です。
Raspberry Piが1台あれば、
- Linuxを実際に触れる
- サーバ構築を経験できる
- ネットワークの検証ができる
- ログや監視について学べる
- 自宅サーバを運用できる
- 失敗しながらトラブルシューティングを学べる
といったことができます。
何より、「自分で構築したサーバが24時間動いている」という状態を作れるのが面白いところです。
これからインフラエンジニアとしてスキルアップしたい方や、ネットワークエンジニアだけどサーバの知識も身につけたい方は、まずRaspberry Piを1台購入してみてはいかがでしょうか。

最初はLinuxをインストールするだけでも構いません。
そこからWebサーバ、監視サーバ、syslogサーバなど、少しずつ自分の環境を作っていけばOKです。
座学だけではなかなか身につかない「実際に構築・運用する経験」を、自宅で手軽に始められる。
これが、インフラエンジニアにRaspberry Piをおすすめする一番の理由です。

